最近あまり耳にしなくなりましたが
現代でマイナスなニュアンスで残る「図に乗る」と言う言葉。
何か怒られる時に発せられるイメージがありませんか?
元々は仏教用語であり、驚く事に「褒め言葉」として使われていたそうなのです。
現代の音楽には調や楽譜をもとに音を奏でそれに合わせ歌ったりしますね。
歌の始まりはお経「声明」だと言われております。
「声明」とは僧侶が法要で節をつけ歌のように唱えるお経の事なのですが
その昔、声明が盛んに唱えられていた奈良時代には楽譜などは未だ存在せず口伝(くでん)でのみ伝えられており
伝授が非常に困難であったそうです。
その時、現代でも声明の授業で教わる宮・商・角・徵・羽という5音を図の様に表し、この図を見て皆でお唱え致します。


まさに、この図に乗せ声明をお唱えできた時褒め言葉として「上手く図に乗れてましたね」と「上手に図に乗れてたね」と使われていたそうです。
では、何故現代ではマイナスのイメージが強いのか。
声明の図には抑揚や音の調子(高低差)、長さ短さなどがありますので
恐らく皆で声明をお唱えをするなかで
他の者より抑揚をつけ過ぎたり、音を伸ばし過ぎたりと 調子良くなり過ぎた際に他の人と音が合わず「少し図に乗りすぎたね」や「調子乗りすぎましたね」などと注意の意味で使われていたのが現代にまで残っているのでは無いのかと思われます。
調子に乗る、図に乗る。
良い事ではありますが、やはり何事も度が過ぎると目立ってしまい後悔する事が多いですね。
如何なる時も図に乗りすぎず自分の心をコントロールし、周りと歩幅を合わせ進んで行けるようこれからも勤めて参ります。
今年の月護摩も残すところあと2回です。
来月11月18日(土)午後2時~
1時間ほど
(途中入退堂可)
お護摩を体験されたい方は是非ともお参りお待ちしておりますね。
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